トイレを落ち着く空間にしたい
我が家のトイレを、もう少し落ち着ける空間にしたい。
毎日使う小さな個室です。せっかくなら、居心地よく過ごしたいものです。
さて、どんな空間なら落ち着くだろう。
落ち着く空間を考えて、思い出した場所がありました。
千葉県佐倉市にある、DIC川村記念美術館。
その中でも、特に好きだったのが、マーク・ロスコの作品が展示されていた部屋です。
訪れたのは、2016年10月10日。「レオナール・フジタとモデルたち」という展覧会を見に行ったときでした。
藤田嗣治に出会ったのも、その日です。
そのロスコの部屋が、ここなら3時間でも4時間でもいられると思ったほど、好きな空間でした。
つまり、落ち着ける空間ということではないだろうか。
あの居心地のよさを、我が家にも取り入れられないだろうか。
ただし、場所はトイレ。
こうして「トイレ川村計画」の構想が生まれました。
川村記念美術館が、休館していた。
少し先の話になりますが、計画を進めている途中で、思いがけないことを知りました。
DIC川村記念美術館は、2025年3月31日をもって、佐倉での運営を終了していたのです。
私が好きだったロスコの部屋は、2008年に増設されたものでした。所蔵されているマーク・ロスコの「シーグラム壁画」は7点。あの部屋は、その7点のために作られた空間だったわけです。
ただ、作品がなくなるわけではありません。
2030年、東京・六本木にある国際文化会館の敷地内に新しい建物ができて、その地下に「ロスコ・ルーム」が開設される予定だそうです。設計は、SANAA(妹島和世さんと西沢立衛さん)。
あの部屋が好きだっただけに、残念です。
川村に行ったのは、その一度きりでした。
向こうの開館予定は、2030年。
こちらは、もう少し早いはず。
ロスコの部屋を、トイレに
もちろん、ロスコの作品そのものを再現しようというわけではありません。
あの展示室で感じた雰囲気を、自分なりの方法で取り入れてみたいのです。
さて、どう飾ろう。
大きなキャンバスを一枚、どどんと飾る?
それとも、何枚か組み合わせる?
組み合わせるなら、大きめの絵を数枚?
いや、小さな絵をたくさん並べるのも面白そうです。
いくつかの案を考えていたとき、ふと目に入ったものがありました。
その蓋が、ちょうど10cm角。
これくらいの大きさの絵を、たくさん並べたらどうだろう。
小さな正方形がいくつも集まって、一つの大きな展示になる。
いいかも!
既製品はあるはずないので、自分で描くことに。
学生のころ美術部だったこともあり、久しぶりに何か描きたい気持ちもありました。
2026年9月6日の手書きメモには、
「住める展示、実験」
「トイレ DIC川村化!?」
と書いてあります。
美術館では、3時間でも4時間でもいられると思った空間。
トイレでも同じように落ち着けるかしら。
住める展示の実験開始です。

壁の寸法を測って、配置を考える
方向性が決まったところで、まずは採寸です。
トイレ正面の壁を測ってみると、高さは約220cm、幅は約77cm。
ここに、どんな大きさの絵を何枚並べようか。
40cm、30cm、20cm、18cm、15cm。
いろいろな大きさを比較しながら、紙に配置を描いてみました。
大きな絵を数枚並べる案も捨てがたい。
しかし、やはり小さな絵をたくさん並べたい。
コットン入れの蓋から思いついた、10cm角のキャンバスです。
9月7日には、縦6枚、横5枚に並べる案が具体化しました。
全部で30枚分。
ただし、中央の2枚分は、別の作品のために空けておきます。
ということで、描く赤い絵は28枚。
当初は、赤い絵を何枚か飾る程度のつもりでした。
それが、いつの間にか壁一面を使う計画に。
こういうことを考えている時間も、なかなか楽しいものです。

その少し前、もれたろうと出会っていた
さて、ここで少し時間を戻します。
川村計画とは別に、気になっていたものがありました。
ヨシタケシンスケさんの『おしっこちょっぴりもれたろう』(PHP研究所、2018年)です。
「ヨシタケシンスケ展かもしれない」に足を運んだ際、グッズを購入しました。
一つは、クリアファイル。
子供の頃にこういうものがあったら、夏休みの宿題を入れたのに。
そんな気持ちで選びました。
そして、もれたろうのキーホルダー。
こちらは単純に、キャラクターがかわいかったから。
この時点では、額装することも、川村計画と組み合わせることも考えていませんでした。
ところが、その後、ふと思いました。
もれたろう、トイレに飾ろう。
もれたろうをお迎えに、もう一度行きました。
ロスコ × もれたろう
9月に入り、トイレ川村計画が具体化してきました。
もれたろうは、どこに住まわせようか。
・・・あれ?
赤い絵の中央に、もれたろうを飾ったら、めっちゃいいんじゃない!?
静かな抽象画の世界と、おしっこをちょっぴり漏らした少年。
何とも不思議な組み合わせです。
しかし、ここは我が家のトイレ。
ロスコ × もれたろう。
こうして、別々に進んでいた二つの構想が、合流することになりました。
空けておいた中央の2枚分に、もれたろう。
川村計画の全体像が見えてきました。

もれたろうの額も探し始める
ポストカードを飾るとなれば、額も欲しいところです。
9月9日には、アフタヌーンティーの店舗で星柄の額を検討しました。
しかし、壁掛けできないことが問題に。
9月19日には、100円ショップで黒地に細い金色の縁取りがある額も見てみました。
こちらは、もれたろうには少し地味かもしれません。
なかなか、これという額が見つかりません。
そんな中、訪れたクラフト市で、桐箪笥職人が作った額に出会いました。
お値段は2,200円。
ようやく、もれたろうの額が決まりました。
この額探しの話は、もれたろう、入居しました。|桐箪笥職人の額と4mmの攻防にあります。
赤い絵を、自分で描く
さて、川村計画に戻ります。
キャンバスを用意し、赤を基調とした抽象画を描いていきます。
使ったのは油絵具。
1年以上前に買って、そのままになっていたものです。
2025年8月、「なんか描きたいな」と思って油絵セットを買いました。16,998円。そのあとは、特に描かないまま置いてありました。
キャンバスのほうは、構想メモを書いた2日後に注文しています。10cm角のミニキャンバスが18枚入り、それを2箱。36枚で4,818円でした。
1枚あたり134円です。
ただ、いきなり赤を塗るわけではありません。
まず、下色を塗ります。
黄色、緑、青、えんじ、黒。この段階では、赤は一枚もありません。

下色が乾いたら、その上から赤を重ねていきます。

同じ赤でも、色の重なり方や絵具の表情は少しずつ違います。
一枚一枚は小さな絵ですが、28枚が並べば、一つの大きな展示になるはずです。
描きながら、実際に壁に並んだところを想像します。
なかなか楽しみです。
そして、赤い絵を描き終えました。
あとは、壁に飾るだけ。
……のはずでした。
油絵具が、乾かない。
もう乾いただろ、と思って
指でちょんちょん、っとしてしまいました。
あぁ。
もれたろうの額装は進んでいるものの、赤い絵は乾燥待ち。
構想はできています。
絵も描きました。
しかし、展示はまだできません。
向こうの開館は2030年。
私の方が早いはずなのですが、トイレ、オープンに至らず。
開館は、もう少し先。
トイレを落ち着く空間にしたい。
そんな小さな思いつきから、ロスコの部屋を思い出しました。
赤い絵を何枚か飾るつもりが、いつの間にか壁一面の計画に。
その少し前に出会っていたもれたろうも、展示に加わることになりました。
別々に始まった二つの話が、一つの壁に集まります。
あとは、赤い絵が乾くのを待つばかり。
完成したら、改めてご紹介したいと思います。
トイレ川村計画、ただいま休館中。
理由は、絵具が乾かないためです。
おしっこも、絵具も、乾かない。
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