久しぶりに、科学雑誌『Newton』を買いました。
2026年10月号。特集は「美術と科学」と「宇宙 未知なる95%」。
最初から買うつもりだったわけではありません。
本屋でなんとなく手に取って、ぱらぱら。
そしてページをめくったところで、
ピエタ!!!!!!
手が止まりました。
昔、オーストラリアでピエタを見たときの記憶が、一気に蘇る。
シドニーのセント・メアリー大聖堂だったと思います。
はっきり覚えていなくて、残っている写真を見返して、たぶん、と言えるくらいです。
さらに読み進めると、美術と科学をつなぐような話も載っていました。
ゴッホのバラの色が、時間とともに変化している話。
絵を見るのは好きだけれど、絵具そのものや、作品が時間の中でどう変わっていくのかも面白い。
これは読みたい。
そのままレジへ向かいました。
Newtonとの出会いは、市立図書館
Newtonを初めて読んだのは、たしか中学生の頃。
市立図書館の雑誌コーナーに置いてありました。
当時は火星探査が話題になっていて、オポチュニティ号だとか、火星に水があった可能性だとか、そんな話をよく目にしていた記憶があります。
そして私は、宇宙の話が好きでした。
……と言うと、
「小さい頃から科学への知識欲が旺盛だったんですね」
みたいな、たいへん立派な話になりそうですが。
違います。
厨二病です。
相対性理論。
超新星爆発。
ブラックホール。
意味はよく分からない。
でも、
名前がかっこいい。
まず、そこでした。
イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト
特に覚えているのが、木星の衛星。
イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。
何度も繰り返して、順番まで覚えました。
なぜそこまで一生懸命覚えたのか。
今考えても、特に役立てる予定はありませんでした。
たぶん、
言えるとかっこいいから。
それだけです。
そして不思議なことに、相対性理論の説明はできなくても、
「イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト」
はいまだに出てくる。
人間、何を記憶に残すか分からないものです。
数の単位も、なぜか好きだった
思い返してみると、こういう「名前がかっこいい」に惹かれる癖は、Newtonより前からあったようです。
家には、小学生向けの学習マンガがいろいろありました。
日本の歴史なんかもあったはずなのですが、こちらはそれほど刺さらなかった。
ところが、なぜか数の単位には食いつきました。
万、億、兆。
このあたりは、まだ普通です。
京、垓、秭。
お。
だんだん雰囲気が出てきた。
そして、
穣!
溝!
澗!
正!
載!
極!
このあたりになると、私の中ではもう数ではありません。
詠唱です。
さらに後半。
恒河沙!
阿僧祇!
那由他!
不可思議!
無量大数!
完全に必殺技。
特に、
那由他。
NA・YU・TA。
かっこいい。
意味や実用性よりも先に、名前そのものに惹かれていました。
そういえば、後に誕生日プレゼントで「日本語大辞典」をねだっています。言葉そのものが好きだったのだと思います。
逆に、小さい方の単位も覚えようとしたものの、途中で飽きました。
大きくなればなるほど壮大になっていく方が、当時の私には圧倒的に魅力的だったようです。
新刊は借りられない。なら、その場で読む
当時、市立図書館に置かれていた新しい雑誌は、館内閲覧のみでした。
Newtonも新しい号は持ち帰れない。
だから気になる号があると、その場でかなりの勢いで読んでいました。
もちろん、全部理解できていたわけではありません。
むしろ、
分からん。
というところの方が多かったと思います。
それでも、大きな写真や図を見る。
分かるところだけ読む。
知らない言葉に引っかかる。
それが面白かった。
「理解してから楽しむ」ではなく、
分からないけど、とりあえず覗いてみる。
Newtonは、そんな雑誌でした。
なぜか、妙な断片だけ残っている
Newtonで読んだ内容を、今もきちんと説明できるかと言われたら、ほとんどできません。
でも妙な断片だけは残っています。
硬水と軟水の話。
進化の話。
ナメクジの殻の話。
どれも細かい内容までは、もう自信がありません。
ただ、
「へえ、そういう見方もあるのか」
と思った感覚だけが残っている。
考えてみれば、ガリレオ衛星もそうです。
全部を理解して覚えているわけではない。
何か一つ引っかかって、その欠片だけ何十年も頭の中にいる。
Newtonって、私にとってはそういう雑誌だったのかもしれません。
それから長いこと、自分では買わなかった
大人になってからもNewtonの存在は知っていました。
でも、自分で買う機会はほとんどありませんでした。
科学に興味がなくなったわけではない。
ただ、中学生の頃とは興味の入口が変わっていました。
昔は宇宙。
火星。
ブラックホール。
超新星爆発。
そして今は、美術。
そんなところへ、
ピエタ!!!!!!
です。
中学生の頃は火星、今はピエタ
今回のNewtonで最初に引っかかったのは、美術でした。
ピエタを見て昔の記憶が蘇り、
ゴッホの絵具の話で立ち止まる。
中学生の頃の私なら、美術の記事より宇宙の記事を先に開いていたかもしれません。
でも入口が変わっただけで、
「なんだこれ。知りたい」
と思うところは、あまり変わっていない気もします。
そもそも昔から、何かを完璧に理解してから好きになるタイプではありませんでした。
「相対性理論」
という名前がかっこいい。
「那由他」
という響きがかっこいい。
そこから入る。
入口なんて、そのくらいでいいのだと思います。
まだ全部は読んでいません
今回買ったNewtonも、まだ最初から最後まで読み切ったわけではありません。
でも、別にいい。
気になるところから読む。
ぱらぱらめくる。
知らないものを見つける。
途中で閉じて、また後で読む。
雑誌なのだから、それくらいの距離感でもいい気がします。
昔は図書館で、返却時間を気にしながら一気に読んでいたNewton。
今は自分の本棚に置いて、好きなときに開ける。
それも少し嬉しい。
久しぶりに買ってよかった
興味の向きは変わっても、
「なんだろう、これ」
と立ち止まる癖は、どうやら変わっていないようです。
まだ全部は読み終わっていません。
それでも、もう十分。
久しぶりに買ってよかった。


コメント