砂糖と塩は、どちらも白い。|すき焼きを二度失敗した話

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間違えるはずがなかった

我が家の砂糖と塩は、100円ショップで購入した容器に入っています。

引っ越しのとき、とりあえずで購入したものです。

特にこだわりがあったわけではありませんが、使い勝手も悪くないので、そのまま使い続けています。

容器の形は同じ。

違うのは、取っ手の色だけです。

白と水色。

こっちが砂糖、こっちが塩。

区別はついています。

今まで間違えたこともありません。

間違えるはずがないと思っていました。

肉を食べて、元気を出そう

とある冬の夜。

疲れていました。

疲れや風邪に負けてなるものか。

こんなときは肉を食べよう。

すき焼きです。

鍋に砂糖、みりん、醤油を入れて煮立たせます。

白菜、椎茸、豆腐などを投入。

牛肉は最後です。

柔らかく食べたいので、いつもそうしています。

具材が煮えてきました。

ちょっと味見をしてみましょう。

ぱくり。

……。

…………。

ぺっ。

少々お行儀が悪いですが、口から出してしまいました。

脳が理解を拒否しています。

想像していた味と、あまりにも違う。

塩辛いなんてものではありません。

何が起きたのか分からない。

とにかく食べられない。

仕方がありません。

作り直しましょう。

まさかの二度目

気を取り直して、もう一度。

砂糖、みりん、醤油。

白菜、椎茸、豆腐。

今度こそ、おいしいすき焼きを。

煮えてきたところで、再び味見。

…………。

おかしい。

さっきと同じ味がする。

ここで、ようやく気づきました。

え、まさか、こっちの色って塩!?

そうです。

砂糖だと思っていた容器には、塩が入っていました。

しかも、一度目の失敗では気づかず、二度目も同じことを繰り返していたのです。

自分では、間違いなく砂糖を入れたつもりでした。

疑いもしませんでした。

思い込みとは恐ろしいものです。

そして、疲労も恐ろしい。

三度目の正直

二度の失敗で無駄にしたのは、一人暮らしの約2食分の野菜と豆腐。

痛い。

食材も、時間も、気力も失いました。

ただし、ひとつだけ幸運なことがありました。

牛肉は無事。

いつも最後に入れるので、まだ投入していなかったのです。

危なかった。

肉を食べて元気を出すつもりが、肉まで失うところでした。

三度目の正直。

今度こそ、ちゃんとすき焼きができました。

疲れや風邪に負けてなるものかと始めた夕飯。

思わぬ長期戦になりました。

砂糖の色を変える

さて、事件のあと。

容器を買い替えたかというと、そうではありません。

今も現役です。

変えたのは、中身。

白い砂糖をやめて、三温糖にしました。

茶色い砂糖です。

これなら、塩と見間違えることはありません。

そういえば、親戚のおばあちゃんの家の容器には、マッキーで「さとう」「しお」と書いてありました。

「さとお」だったかもしれません。そこは覚えていません。

おばあちゃんと、きっと思いは一緒。

もう間違えない。

そもそも、容器の取っ手の色だけで区別できると思っていたのが間違いでした。

普段は問題なくても、疲れているときには思い込みが勝つことがあります。

間違えないように注意する。

それも大切ですが、そもそも間違えにくくしておけばいい。

私の場合は、砂糖の色を変えるだけで済みました。

以来、同じ失敗はしていません。

おわりに

あの冬の夜を、日常的に思い出すことはありません。

思い出すのは、砂糖を買うときくらいです。

白い砂糖と、白い塩。

違うのは取っ手の色だけ。

間違えるはずがないと思っていました。

でも、間違えました。

二度も。

今も我が家の台所には、あのときの容器が並んでいます。

中身は、茶色と白。

これでいいのです。

白い取っ手の塩と、水色の取っ手の三温糖が入った同じ形の容器
いまの砂糖と塩。水色の取っ手が三温糖、白い取っ手が塩です。

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